活動報告
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 2016年
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  三重県防災訓練  11月13日  三重県津市  2頭3名


  秋季合宿訓練会・認定審査会 10月29-31日 岐阜県高山市 25頭31名
■認定審査会(捜索)
 家屋捜索を想定したリフト乗り場と山野の捜索があり順序は選択できる。普段なら特に難しい場所ではないと思えても認定審査は緊張するものだ。進行の不手際もあり、日没となってしまった。不平も言わずヘッドライトを付け審査に臨んだ方々の合格率は高かった。


■秋季訓練会
 実動を想定しチーム編成、状況報告、連絡に重点を置いて2チームに分けて、その違い、互いの特長を学び取り入れていく機会とした。ただ犬に任せた発見ごっこではない。訓練は訓練でしかないが、必ず日常の積み重ねが現場で役に立つ時が来ると思う。
 翌日は服従の基本訓練。モデル犬で見ているとよくわかる。人の振り見て我が振り直せということか。何事も基本、初心を大切にしよう。


  群馬県消防学校特別授業 10月25日 前橋市 4頭5名
■災害救助犬の特別授業
 救助隊カリキュラム「災害救助犬セミナー」13:00〜17:00
 県内の各消防救助隊から数名づつで26名の救助集中授業の中に災害救助犬を理解した上でサーチ&レスキューで連携し人命救助に役立てる。
という初めての試みの機会である。
▼カリキュラム
@災害救助犬の歩み
A災害救助犬界の現況
B災害救助犬の特性とウィークポイント
C災害救助犬の訓練
D災害救助犬の活動とNPO
E先進国に学ぶ
F実働からの教訓(中越沖、岩手内陸、東日本、広島土砂、熊本)
G救助隊との連携の状況
H災害救助犬信頼への道として
I災害救助犬を生かす使い方(提言として)
屋外にて
J災害救助犬デモ(服従作業、捜索作業) 臭覚、機動性、忠実性の特徴の実際
K現場での連携ブラインドサーチ&レスキュー
▼連携は必要であることを再確認したうえで、相互の理解・信頼、役割の分担、共通の用語、明確な伝達など実務的な課題克服に向けて、訓練を継続してサーチ&レスキュー群馬モデル形成したい。



■災害救助犬デモンストレーション
 臭覚が優れ行方不明者の捜索には役立つかも知れないことは想像できるが、現場の最前線で行動するうえで必要なことは指示に従って安全に任務を遂行できるか。偶然は作業犬としての成果ではない。現場では求められる回答を出さなくてはならない。成果を争って身勝手に行動することは許されるものではない。緊迫した状況で冷静に行動するためには指導手との関係性、服従性が欠かせない。犬が身勝手に行動することなく捜索チームの一員となって行動できるか。救助隊への信頼はその点にあると思っている。そのためのデモでもある


■サーチ&レスキュー連携訓練
 本日の講義のまとめとして4時限目に実践的なサーチ&レスキュー連携を行った。消防救助隊も県内から数名づつが集まって連携は試みである。指揮隊、救助隊に分け、さらに災害救助犬を効果的に使うという試みは難しいものである。狭い訓練場なので見つけることは容易いことではあるが状況報告、救出ポイントの特定は難しい。役割の認識、共通の用語など、さらに訓練を積み重ねなくてはならない課題である。
 私たちにとって災害救助犬を効果的に使うモデルつくりに向けて群馬県消防は良きパートナーと感じている。年内には出動協定の締結も決まり全体的な連携の取り組みができる環境が整う予定である。

  長岡市中之島産業まつり 10月23日 新潟県長岡市 3頭5名
締結も決まり
 毎年多くの来場者があるがあいにく天候が悪く、デモの観客もまばらで拍子抜けの感じであったが、予定通り3回のデモを行った。午後からは天候も回復しデモの観客も増えたが、アトラクションのように一過性になりがちなのでテントブースで待ち受けているだけでなく犬に募金箱を付けて場内を巡回して積極的に広報活動を行った。
 新潟は中越、中越沖と地震の記憶も新しい。災害救助犬の存在も認めてもらっているようであった。私たちは行政だけでなく一般社会からの支援、協力も必要と思っている。

  ゴスペルコンサート 10月22日 横浜市港が見える丘 2頭2名
 宮前ゴスペルクワイアのコンサートが横浜港の見える丘公園イギリス館で行われました。歌手後藤美幸女史の発案で入場収入を全額寄付していただくことになっており、また来場者にもその趣旨を理解して賛同いただけるように会場前にお礼も兼ねて現地へ出かけた。コンサートと災害救助犬、不釣り合いな組み合わせだが広く災害救助犬への支援が進むことは大変ありがたい。いろいろな方々からの支援は、反面厳しい目で見られていることに他ならない。自覚をもって活動に取り組みたい。

  体育館に泊まろう 10月22日 愛知県東郷町 3頭4名
 PTAが主催した中学校での避難体験。体育館に避難して非常食を作り、泊るという催しに災害救助犬が参加した。防災への意識啓蒙に役立ってくれれば幸いである。撮影係がおらず写真が少なくて残念である。

  福島県防災フェア 10月16日 福島市 3頭6名
 当会との災害出動協定先でもある福島県が子供たちに楽しく防災を学んでために今年度から開催された「ふくしま防災フェア」に参加した。
 地元の収穫祭との併催だったため災害救助犬は入れずにパネル展示のみの広報活動となった。来年は災害救助犬のデモもありそうなので楽しみである。

  佐野市防災訓練 10月2日 栃木県佐野市 4頭5名

 ドラマチックな演出で毎年市民の来場者も多く、防災意識を高めてもらうことに成功している佐野市総合防災訓練が田沼グリーンスポーツセンターで開催された。
 災害救助犬の活躍する場面も多く設定され、多くの方々に災害救助犬、消防機関、初期サーチのドローンとともに役割、特性が理解されていたように思う。

  夢の島マリーナフェスティバル 10月2日 東京都江東区 5頭8名
   東京夢の島マリーナで毎年行われているイベントである。主に海辺をイメージしたステージの中に災害救助犬は不釣り合いかもしれない。が参加者は喜んでいただいた印象である。この日は暑く犬たちは大変であったがシェパードと小型犬を並べて服従作業を見せたが、同じように作業をする小型犬には拍手が多かった。広報の活動として行っているがデモを通じて災害救助犬に興味が湧いてもらえばありがたい。

  須賀川市防災訓練 9月25日 福島県須賀川市 3頭6名

 市内の学校での防災訓練で地域住民ができる限り自己完結することを目的とした住民参加型の防災訓練であった。
 災害救助犬チームは安全管理者、隊長、ハンドラー2、災害救助犬2頭で倒壊家屋の行方不明者を捜索した。
 体育館の広報ブースでは組織案内、パネル展示を行い、学校での防災事業も兼ねており、中学生や地域住民とのつながりも体感できた。

  わんわんパトフェスタ 9月25日 岩手県矢巾町 4頭6名


  ペットの里災害救助犬デモ 9月24日 岩手県雫石町 3頭6名



  下越動物愛護フェスティバル 9月22日 新潟県新発田市 2頭4名


  岩手動物愛護フェスティバル 9月22日 岩手県滝沢市 3頭5名


  滋賀県動物愛護フェスティバル 9月22日 滋賀県竜王町 3頭4名

 あいにくの雨であったが全天候型の大きな施設で毎年来場者も何千人規模である。会場中央で周囲にはたくさんの方々に注目されてのデモである。私たちは災害救助犬であることに不可欠な服従作業は必ず見てもらう。そこで拍手が起こるぐらいの服従を見せる必要がある。隠れている人を見つけるイメージが先行しがちであるが、使役犬である以上、期待される役目を果たすためには、人々の要望を汲み取れるハンドラーの指示に基づいて作業できなければ成り立たない。偶然ではないことを知ってもらいたい。動物愛護フェスティバルなので犬連れも多いが、ペットとしてだけでなく、犬の能力を生かして一緒に楽しむことも考えてもらえればありがたい。

  福井県動物愛護フェスティバル 9月11日 三重県四日市市 3頭5名

 台風が近づき大雨警報も出て開催が心配されたが、当日は曇り時々雨で来場者も比較的多い印象であった。手前みそながら災害救助犬のデモの時間には観客が集まっていただいた。シェパード2頭並列の服従作業には多くの拍手をいただき、あらためて使役犬としての期待を感じる。災害救助犬、ボランティアの活動実態もしっかり伝えたい。ふれあいタイムはいつまでも続き、子供たちはシェパードとボールで遊んでいた。いい思い出となって覚えていてくれればありがたい。

  こども防災キャンプ 9月18日 京都府京田辺市 2頭3名

 昨年が好評だったらしく昨年に続いての要請である。台風の影響で室内でのデモになった。犬にとっては声が響き落ち着かない、できる犬であると思われているのでハンドラーは緊張するが大きなミスもなく服従作業を見てもらった。自然に起こる拍手はありがたい。子供たいからハンドラーから憧れる存在になって若い人が活動に参加してくれることを願う。捜索デモでは子供たちに隠れてもらい、いつもながら子供たちは次から次と手をあげてくるので終りにくい。1時間の予定もオーバーして、終了後も外でふれあいをしていた。

  災害救助犬セミナー 9月16日 東京都足立区 5頭5名

 災害救助犬セミナー

  四日市市防災訓練 9月11日 三重県四日市市 2頭3名

 災害救助犬協会静岡と連携して対応した。シナリオがある防災訓練とはいえ互いの役目、動きを認識していなくてはうまく対応できない。時間に追われる流れであるが、何も知らない犬たちは指導手の指示が頼りである。初めての現場で犬たちは人の臭いを求めて淡々と作業をすることを救助隊にも知ってもらいたいと思う。

  養護施設訪問デモセミナー 9月10日 埼玉県さいたま市 5頭4名

 ※子供たちのプライバシー保護の観点から写真は拡大できません。

 高校生から小学生まで30名程の子供たちに、社会人の話を聞く、災害救助犬には興味示すであろうと企画されたものである。
 災害救助犬の映像を見せながら説明をして、なぜボランティアとして活動するのか、メンバーにも様々な動機があるであろうが、当会として考える理念、取り組みなどを事例をあげて話したが子供達には理解しにくい話であったろう。社会人となってボランティア、災害救助犬活動に関わってくれることに願っていることで結んだ。
 後半は屋外でライトを照らしながらデモを行った。服従、BOX捜索後のふれあいにはすっかり打ち解けて犬たちに話しかけていた。この中から将来のハンドラーが生まれてくることに期待したい。

  京都府防災訓練 9月4日 京都府南丹市 3頭5名

 出動協定先でもある京都府の防災訓練である。京都府においては形式的なイベントととしての開催とは別に実務的に人命救助に対しての取組みも進んでいる。
 今年はドローンも参加して災害救助犬とともに空からと地上からの情報収集を行った。災害救助犬は発見の役目になることが今までであったが発災直後の情報収集係とは新しい使い方かもしれない。
 ドローンの特性(俯瞰性)、弱点(天候、時間)、災害救助犬の特性(臭覚)、弱点(風向き)の補完性はこれからの取組み課題であり、互いに連携した訓練を行いたいと話し合っている。
 訓練は災害救助犬チームとして連携してあたり、土砂災害現場、倒壊家屋を巡回し災害救助犬の反応において救助隊を向かわせるというものである。現実にもあり得ることである。
 警察広報ブースでは熊本地震で災害救助犬と連携した写真パネルが掲示されていたことは意外でもあったが理解への一歩と感じる。
 年々、防災への意識、取り組みが現実的に行われていくことは確かであり、私たち災害救助犬も立ち遅れないようにしたい。
 相変わらず自衛隊の炊き出しカレーは美味い。

  美里町防災訓練 9月3日 宮城県美里町 3頭5名

 DRDN設立前2006年からから参加している防災訓練である。
 東日本大震災の被災を受けて防災意識も高く、町を挙げて取り組んでいる様子である。災害救助犬への期待も感じ広報ブースでも質問を多く受けた。支援の募金もたくさんいただきありがとうございました。
 倒壊家屋の要救助者の発見を経て救助隊に引き継ぐ、サーチ&レスキューの形が定着してきていることはありがたいが、それだけに役目を果たせる訓練をしていかなければと思う。こうした訓練を通じて救助隊に限らず広く災害救助犬を理解してもらう機会になればありがたい。

  小学生行方不明捜索 8月29日 長野県小谷村 4頭4名

 捜索マップ
 誠に不幸で残念な結末であったが、幼い命からの教訓を無駄にせず、人命救助に役立てる活動に結び付けたい。
 NHKニュースで一報を得て、すぐに出動の検討に入った。近隣のメンバーが出発しても28日夕刻になることも勘案し、28日の捜索結果を待って夜に移動することで29日捜索継続ならば出動することにした。
 大町警察とも相談し、28日18時に出動を決め可能なメンバーを募った。第一陣は5名、第二陣(30日〜)も3名が準備することになった。
 29日6時小谷村大網地区公民館に警察20名、小谷村消防団70名とともに捜索に入った。マスコミも非常に多く20名以上はいたようだ。
 大網地区は狭いようだが、捜索するとなると広い。情報はサンダルが左右で見つかったこと、ピンクのTシャツを着ていたこと、行動的ではない性格の子供であること、笹野地区で夜に子供らしき声が聞こえた、ぬいぐるみを抱いていた。警察犬がサンダル発見場所から先は追及できなかったこと、などがわかっていた。
 災害救助犬は、2名の地元消防団員のサポートで救助隊とは別行動となり、無暗に藪に入らずサンダル発見場所の橋から林道沿いに浮遊臭を取らせ僅かな変化でも確認するようにした。しかし、藪は深く蔓が絡みついて犬たちは動きづらそうである。天候もよく気温も上昇してきた。そして後方にはマスコミが張り付いてきて一言一句、一挙手一投足に気を遣う。そのうえ周囲には救助隊が捜索しており、その臭いに引っ張られている感じであったこともあり、子供の声を聞いたという笹野地区に移った。ここも棚田であった場所も荒れて2mほどの藪である。風は舞っている感じで周囲からの臭いはとれるみたいで、犬は時折見せる反応の先にはマスコミか救助隊がいた。
 午前中は大網地区周辺を受け持ったが、人間の目で確認しきれなかったところは確認したので、救助隊が未確認の場所、捜索範囲外の場所を与えてもらうように進言し、地区外の姫川温泉の方に向かった昼頃、姫川の中で女の子を発見したとの連絡が入り本部へ戻った。本人と確認され捜索は終了となった。
 私たちは犬を使って作業をする立場から考えたい点がある。
 警察犬がサンダル発見場所から追及しなかった、できなかったということは、そこから車に乗った?、側の川に入った、などが警察犬の行動からはヒントにして然るべきであろう。事故事件の両面を考慮していたらしいが、川(用水路のように川床整備されている)も流されるほどの水量はない。子供が降りれる高さではない。姫川との合流点までは捜索している(発見は合流点から下流部)。行動的でない性格など大人の推量、思い込みが結果的に発見を遅らせた要因とも考えられる。
 私たちは通常の行動以外で行方不明が起こっている現実の教訓を糧にして役に立てる災害救助犬にならなければと意味がない。災害救助犬も同様に犬の臭覚、行動をヒントに人の発見に至るようにするのであれば、犬の動作、行動を優先的に扱うべき立場であろう。
 しかし、犬の行動がすべて正しいことばかりではない、求めるものでない場合もある。発見以外に効率的な捜索に寄与することは、犬の行動を多面的に精緻に分析できることが前提条件でもある。ハンドラーの分析は我田引水になりがちなため、サポ―ターが客観的に分析する必要がある。また、その犬の特性を知るためにも平時の訓練で枠組みを標準化するべきと考えられる。犬には現場での作業意識、集中力、持続力を養うことを願うが、互いに信頼関係の上に成り立つ課題でもある。
 幼い命に限らず、人命救助を目的とするからには、いち早く現場に向かうこと、サポーターらの役割、権限、責任等を明確にし、チームとして総合的なスキルアップすることなど、人間サイドが真摯に取り組めば犬は必ず期待に応えてくれるに違いない。

  福島県防災訓練 8月29日 福島県会津若松市 2頭4名
 

 まだ東日本大震災の爪痕が残る福島県であるが、出動協定を締結し県内における災害には対応できる枠組みは整ったが、さらに機能させるために訓練、広報をしていきたい。
 2016福島県防災訓練の主会場である会津若松市消防は災害救助犬への期待も示してもらっているので実務的な訓練も行っていきたい。

  郡山市防災訓練 8月28日 福島県郡山市 3頭4名

 郡山市消防とは2010年消防訓練場でデモを行い、災害救助犬の特性は理解されて東日本大震災時は連携して出動してきた。さらには福島県と災害時の出動協定を締結したことが救助隊との連携のバックアップになると思われる。そして、NPOとして活動して行くためにも広く市民の方々にも支援をいただき継続した活動ができるようにしていきたい。

  青森県防災訓練 8月25日 むつ市 3頭5名

 出動協定先でもある青森県での防災訓練である。
孤立した地域での行方不明者の捜索に災害救助犬をヘリ輸送する想定であったが、訓練では時間に追われうまく連携できなかったが、実際には海岸線、山間部などへの輸送は必要なことであり、行政区を越えて取り組んでもらいたい訓練でもある。
 また、広報ブースも設営され、3000人近くの地元の方々への災害救助犬の存在、理解も訴え、関心を示してもらえた。
 東日本大震災から5年、被災からの教訓が風化されないように願うばかりである。

  東広島市防災訓練 8月23日 広島県東広島市 2頭6名



  群馬県都市型災害救助連携訓練 8月21日 前橋市 9頭18名(88名)

■都市型災害Aサイト(小学校解体現場)
 ある都市の区画を設定し倒壊したビル家屋跡を災害救助犬、消防、警察、DMATが連携して捜索・救助・救命を行う。


 いつ起こるかわからない災害に災害救助犬として準備、訓練を怠ることはできない。また、私たちにとってサーチ&レスキューに災害救助犬は必要との立場からレスキューモデル化することは不可避であり、幸い積極的な群馬県の救助隊との連携訓練は重視している。
 Aサイトでは小学校校舎解体現場で行われ、広い瓦礫地を都市災害の区画と見立て、倒壊前の建物名の地図を基に災害救助犬チームに指示が出され、2チームを編成し探索作業に当たったが、災害救助犬の役割の捜索に特化し過ぎて、連携している認識が欠けていたと感じられる。
 安全管理の意識、捜索中の状況報告、反応現場での対処、捜索の詳細記録・連絡、終了後の報告引き継ぎなどの対処は教訓とすべきである。
 これらは現場でいきなり出来るものではなく、連携訓練の中で培っていくものではあるが、いつも同じメンバーで訓練できるとは限らないので、自覚して取り組んでいくべき課題でもある。
 熊本地震と同様に獣医を帯同させて備えていたこと、実践的に丁寧な作業を心掛けた点などは評価されるかもしれないが、焦点は災害救助犬とハンドラーだけで構成されているのではなく、災害救助犬を使ったチームとして機能させるようにしなければならないと考えている。
 災害救助犬は犬を訓練していれば実働できる、と安易に考えることは無謀であると救助隊との連携訓練の度に思い知らされる。


■災害救助犬デモンストレーション
 災害救助犬の特性が生かせる作業環境で効率的な人命救助の一翼を担うために、救助隊に災害救助犬の理解を深め、現場で連携した行方不明者の捜索を考えるためのデモンストレーション。

 参加した県警機動隊、消防、DMATに向けて、災害救助犬という作業犬の特性(長所、弱点)を知ってもらう良い機会である。
 まず捜索隊の最前線で動く災害救助犬はハンドラーの指示に従って作業をするか。そのための服従作業というものを見てもらった。捜索というものに意識が行きがちであるが、安全管理のためにも走り回るのでなくともに作業をするための服従性は重要なファクターである。
 引き続き、捜索の作業の条件である風向き、臭いの誘因、生活臭、残臭への反応のデモを行った。3つのBOXには空、残臭、生体に分け、残臭にも反応するが、最終的には生体に辿り着き咆哮して要救助者を知らせるプロセス、実際をみてもらった。反応は必ずしも発見時だけではなく、ヒントである場合、錯覚である場合もある。犬が純粋であるが故に起こることであることも理解してもらいたい。
 また、熊本地震、広島土砂災害の現場の作業状況での教訓を伝え、救助隊として補完を期待する、協同作業があるのか、実務的な連携がどのようにできるのか、人命救助を考える一助となれば幸いである。


■都市型災害Bサイト(群馬県消防学校)
 都市型災害として被災地を転戦するという設定で、Aゾーンと同様に連携して捜索救助を行う。

 午後から場所を移動して消防学校の訓練場で行われた。
 実際の災害では必要な所に救助隊が向かうのは当然のことであるが、訓練では設定されにくい。形式的ではなく臨機応変に災害に向き合っていく姿勢は学ぶべきであろう。
 災害救助犬側の自己満足の訓練ではなく、救助隊と連携して行くにはどのようにすべきか。今までの災害救助犬の訓練の中には取り入れてないことばかりであり、視点を変えて訓練に取り組むべきではないか。そのためには体制的な意識改革も必要になってくるであろう。
 当会では犬の育成は訓練育成部に委ね、出動部とリンクして実働できる災害救助犬チームとして機能できるように取組んでいるが、認知されるには課題が山積みしていることだけは確かであり、レポートをまとめ共有するつもりである。

  山岳合宿訓練会 8月13〜14日 長野県北アルプス 8頭9名

 5回目を迎えた恒例の山岳での訓練会である。
 環境省、林野庁、東京電力の協賛を得て、国立公園内で実践を意識して訓練に取り組んできた。行政にも災害救助犬の存在が認められ、理解が進んでいくことはありがたいが、姿勢は正さなくてはならない。
 猛暑の都会とはかけ離れ、涼しくて朝夕は寒いぐらいであり、犬には行動しやすい環境である。
 現実は災害よりも行方不明者の依頼の機会は多いので真剣に取り組む必要がある。山岳地での地図の読み方、現在地の確認、自己の安全確保などは身につけておかなければならない。そのためのレクチャーを行ったうえで、登山道を歩きながら要救助者の捜索訓練に入った。広いエリアで微細な犬の反応を読み取るのは難しいので、当会ではハンドラーのサポーターはペアで動くするようにしている。
 夕食はBBQで上質な肉の評判は上々であった。厳しい訓練とは違い、楽しく日常とかけ離れた時間を過ごした。


  夏季合宿訓練会(認定R審査会)7月9〜11日 福島県 40頭42名

 認定R審査会、熊本地震出動報告会、服従セミナー、捜索訓練A、
 スイスITW報告会、捜索訓練B

■認定R審査会
 新制度になって2回目の認定R(服従)審査会である。21頭の出陳であった。合格できたのは9頭であった。この認定Rに合格しなければ捜索審査には進めない。厳しいようであるが、犬との関係性、信頼感が整えばパートナーとして安定した服従作業はできるはずであり、比例して捜索作業も信頼できる成果を出してくれるはずである。
 すべては社会性、実働を視野において規定され審査されている。

■熊本地震出動報告会
 4月の熊本出動における報告であるが、当会のみならず合同で活動した団体が共有して報告できないことは、教訓が次の連携に生かされないことが懸念される。
 訓練では得られない貴重な教訓は、災害救助犬の課題でもある。出動した者だけでなく全体で共有しなければ意味をもたない。

■服従セミナー
 犬との作業に欠かせない服従訓練に終わりはない。
 災害救助犬の訓練は捜索中心に捉えられているようだが、服従性のない捜索は偶然の結果に満足しているに過ぎないと考える。
 作業犬であるならば、与えられた作業を2人3脚で期待に応えるために服従を疎かにすることはできないはずである。
 6頭のデモ犬を使い4時間行われ、この訓練成果が結実するのは先かもしれないが必ず実ってくるはずであり、服従訓練は必須なものと捉えられて訓練会の軸となっていくであろう。

■捜索訓練

■スイスITW報告会
 5月の国際救助犬訓練週間でスイスに派遣された3名の訓練士の報告会である。プロジェクターに映し出される何百枚の写真には見えない大切なものは犬との関係、基礎訓練であることに到着した瞬間から感じてきたようだ。1週間の多彩なメニューは、基礎が整っていることが前提に組み立てられており、理論、知識を得ての押し付けでは犬は動かない。私たちが学ぶべきは見えない文化、風土かもしれない。

  またスイスにおける人命救助の仕組みは学ぶべきものが多く、その一翼を担える災害救助犬であるためには個々の力では叶えられない。
※スイスレスキューチェーンは災害救助犬、救助隊、赤十字などの他に物資、空港、輸送航空機、各分野の専門家集団、人道支援など8分野が連携して人命救助に当たる仕組みが国家的に整えられている。


■捜索訓練
 朝のラジオ体操から1日が始まる。熊の目撃情報もあり鈴を付けて訓練に入る。キャンプ場は木立の中で涼しい。
 初級者には初めての場所、いつもと違うヘルパーなど環境馴致で実働を考えて訓練するにはよい機会であった。


  京都愛宕山行方不明者捜索 7月2〜3日 京都市 7頭9名

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 愛宕山は子供たちの遠足でも登られる親しい手軽な山でもあるが行方不明者が出てしまった。
 家族はいくつかの災害救助犬に要請したが、最終的に当会が協力することになり、7月2日6時から7名6頭で捜索に入った。
 警察からの情報をもとに、京都府山岳連盟との連携で、当会は犬の特性を生かせるであろう南側の尾根筋、山岳会は北側の沢筋に分けて捜索を行った。時間の経過を考え必要と思われる作業準備を早朝に行い入山した。弁解になるが、当日は30度を超え、人犬ともに持続性、集中力を発揮できず、成果には結びつけられなかった。
 登山者からの異臭情報地点(135.38.06:35.02.19)付近の確認で動物の死骸はあったが、それが異臭源かどうかはわからない。
 入山口でご家族とも面談したが、藁をも掴む心境であろう。私たちに何ができるのか。人命救助ではあるが、災害救助犬が特性を出して役に立てるのであろうか。そんな自問自答をしながら解散したが、社会で起こる現実的な要望、期待に応える手立ても考えて行かなければならない課題でもある。山岳会は不明以来、有志で捜索活動に協力している。
 また、社会、行政、救助隊への応対も、災害救助犬の各個別事情は通用しない前提で、災害救助犬として統一した見解、立場で行うことでなければ信頼は得られないように思う。

  ペット&グリーンフェスタV 6月4〜5日 八戸市 4頭5名



  ITW(国際救助犬週間) 5月21〜29日 スイス 3名Japan15名

 5年に1度、世界16ヶ国から救助犬ボランティアがスイスに集まる。言葉の壁はあるが大筋では理解し合えるものだ。
 私たちは自分たちの犬の訓練ではなく、世界の活動実態、取り組み姿勢を直接感じ、日本に取り入れるべきことを学ぶために参加することにした。社会、行政から認知されているなど日本の救助犬活動が学ぶべきことは多い。テクニカルなことより、目的に対する意識、取り組み姿勢、プライドは高く、犬との関りの風土は異なるとはいえ、まずは基本的な取組む姿勢は学ぶべきであろう。その点を確認し合わなければボタンの掛け違いのままチグハグに進むことになる。
 また美辞麗句、掛け声の羅列だけでは人の命は救えない。
 6団体15名が参加したことでもあり、今後の活動において世界の流れ、存在の価値など共有、連携につながることを願うが、まず参加の目的が異なっている状況では期待できないと感じてしまう。それは2015年の来日時に語り合ったことが目的の違いが浮き彫りになり頓挫し、そこから呼びかけにも応じず閉鎖的になっている現状がある。
 私たちは今回に得たものを報告会を通じてメンバーのみならず、人命救助の救助犬となるために、救助犬業界だけでは自己改革できないと判断している。救助犬の活用を真剣に考えてもらえる救助レスキューに向けて前向きに提案、発信して行きます。

  ドッグフェスティバルinアピオ 5月21日 岩手県滝沢市 2頭4名
 専門学校の学生が企画して行われたフェスティバルでたくさんの愛犬家が来場されました。災害救助犬とはどのような作業を行うのか、どのような訓練をしていくのか、実際のデモを行った。愛犬家の中から、犬のトレーナーをめざす学生さんらが災害救助犬の活動にも興味を持ってもらえればと願う。また、活動への支援として多くの寄付、募金をいただきありがとうございました。

  消防有志連携訓練 5月15日 東京都 3団体22頭35名消防26名

 組織連携訓練として6回目を迎えた。ボランティア故か参加メンバーも一定でなく揃わないものである。常に課題ばかりが先行し克服には至らず、広がりは見せてはいるが集約しきれないのもボランティア故か。最小限でも救助隊と行動できる災害救助犬チームが組めればと願う。

  ペット&グリーンフェスタU 5月4〜5日 青森市 4頭5名


 4/23.24の盛岡市でのデモイベントと同様の内容で青森市で行われ、たくさんの募金をいただいた。

  ペット&グリーンフェスタ 4月23〜24日 盛岡市 5頭8名

 ホームセンターの支援を得て展示販売会場に災害救助犬の広報ブースをいただき募金活動も行った。東北エリアメンバー8名5頭が参加し、来場者向けに服従作業、捜索作業のデモを行い災害救助犬活動を知ってもらう良い機会となった。

  熊本地震出動 4月16〜19日 熊本県南阿蘇村 8団体47頭82名

活動速報  ※募金箱設置先など支援者掲示用です。
 14日の余震では益城町に倒壊建物が出ていたが被災者は特定できていたので災害救助犬の必要性は低いと判断していた。
 16日の本震後に多数の行方不明者が出て出動することとなった。先発していた和歌山救助犬からの情報を得ながら南阿蘇村に向かった。
 長陽庁舎内グラウンドに本部を設置、延べ8団体82名47頭が集結し自衛隊、京都府警、福岡県警、熊本県警などと7名の行方不明者がいるとのことで同村高野台地区で集中的に掘削して災害救助犬で確認、掘削確認を繰り返し検索を行ったが発見されたのはご遺体であった。
 災害は突然やってくる。各地から現場に辿り着くタイムラグがあっても出動できる先着隊が活動準備を整えられるか、昨年から試みている連携が試される時であった。混乱する現場で整然と行動をすることは難しいことではあるが、現場に犬がいるだけでは何も役に立たず、災害地の散歩かと揶揄される。災害救助犬は救助隊に求められているのか、でなければ災害救助犬の特性を生かせることはできない。
救助隊とともに現場で効果的に活用できる連携の仕組みと対応できる能力がなければ期待には応えられないと感じた。
 今回は9団体(和歌山、岐阜、静岡、日本レスキュー、救犬ジャパン、日本救助犬、SARDOG、JKC、DRDN)が連携した災害救助犬チームとして対応できたことは成果でもあったが、その活動は改善擦るべ店が多い。自衛隊、警察、消防などが対象エリアに見落としがないように現場を割り振り対応していることを災害救助犬チームも見習い機能的に動けるようにしたい。また、チームの役割に応えられる共有した意識、スキルを備えることも必須である。そのためには平時に目的を持って合同訓練を積み重ねるしかないが道半ばである。

  春季合宿訓練会 4月1〜3日 埼玉県飯能市 33頭35名

 4/1は午後から捜索部門の認定審査会、5ペアが認定された。
 4/2午前は服従セミナー、午後は伊豆が岳に向けて捜索実働訓練、夜は犬の救急対応についてのセミナーを行った。
 犬の訓練以外に私たちが身につけなければならないことは多い。

  京都府警京丹後警察警備訓練 3月7日 京丹後警察署 3頭4名

 京都府警とは定期的に警備部、各警察と連携訓練を重ねている。もし、大きな災害が起こり広域対応する場合などは、発災当初から災害救助犬と京都府警広域警備隊とのチーム構成で災害地へ向かい効率的な人命救助活動ができるようになればと願っている。
 そのためには災害救助犬チームが救助隊に信頼を得ることが不可欠であり、私たちは失敗から学び弱点を補う努力しなければならない。

  オール千葉消防連携訓練会 2月19日 千葉県消防学校 7頭16名

 千葉県消防の有志で構成されている「オール千葉チーム」ACTと災害救助犬連携チームとの合同連携訓練を行った。
 千葉県における消防からの災害救助犬に対する評価は懐疑的な点もあり、消防にとって今回は連携を前提にというよりも災害救助犬を知るということが大きな目的であった。
 そのために、80名程の参加者と消防学校の学生100名程を前に、災害救助犬の特性、活用方法の提案、連携上の注意点などについて10分間デモを行った。発見捜索ばかりでなく、ゼロ回答において効率的な消防の救助活動に活用できる点、生存者がいた場合の発見率の精度を実際の現場で見てもらった。その評価はこれからである。
 その後、実践的な捜索救助訓練で、まず初期の捜索を災害救助犬が担い、救助隊に結果報告し救助活動を行う、という連携訓練を行った。配分時間は5分間と短かったが、エリアを分け反応を示した場所をマーキングし報告を行った。狭いエリアであるので発見は確実にできたが、やはり訓練のための訓練の動きになっていたようだ。
 訓練後の懇親会では概ね評価はいただいたが、厳しい現場において期待されるパフォーマンスが発揮できるかは疑問が残る。
 それぞれが課題を見つけ、連携して取り組んでいく認識があれば克服できる、と考える機会であったと捉えたい。

  冬季合宿訓練会 2月11〜13日 滋賀県竜王町 24頭26名

 会員を問わず、災害救助犬に関わっている26名が参加して認定審査、服従セミナー、実働想定訓練、初歩捜索訓練など2泊3日で行った。
 服従セミナーは全員、実働想定は役割を分担してチームとして機能させるための訓練、また実働で求められる捜索の体験的な訓練を行った。
 災害救助犬は捜索が重視されがちであるが、服従の是非が成果に直結するであろうことも意識されだしたようである。
 実働を考えるのであれば、訓練における狭いエリアでの発見に一喜一憂することなく、犬の訓練に偏ることなく日々課題を見つけ訓練を積み重ね、あらゆる角度から成長が得られるように努力しなければならないと感じる。
 訓練に終わりはないのでさらに続けて取組んで行きたい。

  認定R審査会 2月11日 滋賀県竜王町 9頭

 認定R審査(服従)には9頭が出陳し7頭が合格し、実働するためには次の認定捜索審査にチャレンジする。
 惜しくも通過できなかった2頭を含め、全員が翌日の服従セミナーに参加し弱点の克服をする。服従を基本と考えている取組みである。
 訓練⇒認定⇒訓練⇒実働⇒訓練のサイクルで常にチェックし、機能するチームとなるために成長して行きたい。

  渋川消防連携・組織連携訓練 1月17日 群馬県渋川市 28頭88名


 速報Vol.3                組織連携 ページ
 

 7組織53名28頭が集まり、渋川消防と捜索救助連携訓練を行った。
参集するだけでなく互いに役割を分担し混成チームで訓練に当たった。
災害救助犬界にとっては画期的な出来事であり大きな一歩である。
同じ目的を持ちながら、なぜ協力しなかったのか。
連携の難しさ、能力の未熟さ、人命救助に向き合うためにはこれからが
正念場である。