活動報告
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 2018年
   山岳遭難防止キャンペーン 8月10日 京都市右京区清滝 1頭2名
 昨年このエリアにおいて捜索に関わったのは3回ある。市民の手軽なレクレーションの場所ではあり、スリッパなどで登る人も居て、行方不明事故が頻繁に起こっている。
 京都府警、消防、山岳会、猟友会などと共に行方不明者の捜索に協力していくことになっており、その一環として山の日を前に遭難防止の呼びかけを行った。
 私たちは災害に限らず、一人の行方不明者であっても人命救助に役に立てることがあれば協力していくことに変わりはない。


   西日本豪雨災害 7月10-12日 広島県呉市安浦町 11頭13名
 10日呉市消防から出動要請が入った。
 直ちに各地から9頭11名が呉市安浦町中畑の現場に向かった。11日午前7時に現場手前空き地に集結し、消防とともに約750m奥の被災地へ徒歩で向かうが、途中土砂崩れで犬には不適な泥の場所であったが、消防隊が足場を固めてくれて何とか通過できた。安全に対する意識が高い救助隊サポートは心強い。
 この現場は山深いわけでもないが、道路が寸断されて救助が遅れていた。3名が安否不明で1名は下流域で確認でき、2名の探索が必要であった。朝でも犬には暑さが厳しく、行動は10分以内として交代で探索を進めることにした。流された家屋が堆積する地点を集中的に行おうとしたが足場が悪く思うように行動ができない。整然とした災害地はなく、あらゆる環境において行動できるように実践的な訓練をしてこそ捜索の第一歩が始まるように思う。
 午前中の探索エリアにおいては報告するような箇所は見られず、待機していた時、河原近くの救助隊から車両らしき部分が出ているので確認を求められた。4頭で現場に向かい、土砂から僅かに覗いているそのポイントに疑似遺体臭を経験させている犬に確認させると強いボディランゲージを示した。一方、他の犬たちは緊張感のあるボディランゲージや拒否反応を示した。そうした各犬のボディランゲージやナチュラルアラートを冷静に観察し、救助犬として見守る救助隊に掘削を進言した。この判断は非常に厳しく酷な役目である。
 結果としてご遺体が搬出されたが、搬出まで6時間を費やしていることを考えれば、空振りは救助隊に無駄な作業をさせたことになる。
 互いの信頼、救出への強い思いがなくてはできるものではない。
 この現場はあと一人捜し出さなくてはならないので翌日も探索に当たることになり近くの緊急援助隊の宿営地で明日に備えた。
 朝6時現場集合、2頭3名が加わった。すでに30度近くになり、この日も犬は10分以内の行動に制限するように当会獣医からの強い指示がありアクシデントが起こらないように徹底した。
 消防、警察、自衛隊とのブリーフィングで、家屋物、流木が堆積する場所が犬が行動しにくく細かく探索したいので除去してほしいと要望し、その間に下流側を探索することにした。その作業が進行中の1時間後、8時45分に3人目の女性が堆積した流木の下から見つかった。どの部隊が見つけたというのは拘るべきことではなく、その現場においての目的が無事終了できた安堵感を感じたのは初めてである。今までの災害において、中途半端な形で現場を離れることが多く、人命救助に関わり方を自問自答してきた。
 呉市においては他に安否不明者はおり、消防にこの現場以外はどうするのか問うたところ、他の現場は救助犬を使う環境にはなく撤収を指示されたので午前11時現場から撤収した。
 活動速報
 広範囲に多数の安否不明者出て、どのように対応していくのか救助犬に突きつけられた課題は数多い。行政、救助隊への対応、救助犬サイドの体制、能力は未熟と云わざるを得ない。私たちはその課題一つ一つに答えを出して整えなければならない。その課題と向き合わず人命救助の現場に犬を連れて行くパフォーマンスに偏れば社会に対する欺瞞であり、支援を求めることなどできない。問われるのはその姿勢と備えや訓練であり、私たちはそのことを肝に銘じて対応していくつもりである。


消防学校救助科特別授業 6月25日 広島県消防学校 5頭8名
 昨年の救助科に向けた講座に続いて3回目のである。今回は県内各署の幹部科向けに行う。各消防に災害救助犬の理解が浸透していくものと期待している。午後1時から5時までの4時間プログラム
@災害救助犬とNPO活動について
 欧米先進国も災害救助犬は民間の活用である。共助ということからも如何にうまく活用し人命救助に生かせるか、私たちの目的、日常の活動も理解して踏まえてもらう必要がある。
ANHKEテレ「学ぼうBOSAI」ビデオ
 NHK教育で小学校高向けに制作された「命を守るチカラ・災害救助犬」の映像である。10分間で非常にわかりやすく編集されている。
B災害救助犬の特徴と訓練について
 言うまでもなく臭覚が優れている犬ではあるが、それを生かすためには服従性の重要性を挙げている。作業犬として優れた臭覚を必要な時、場所において生かせるようにならなければならない。
 それは訓練において犬との関係性、服従訓練、環境馴致、経験などの積み重ねが求められる。
 犬の生かせるのは指導手にかかっていることを認識してすべての関りに向き合い取り組んでいることを強調した。
C災害救助犬のウイークポイント
 災害救助犬は常に正解を導き出せると期待されがちだが。災害現場においては訓練のようには行かない。特に臭覚を生かすには、風、温度、湿度、現場環境などに左右される。また、告知がイコール発見ではなく生活臭への反応、周囲への判のである場合、犬にとっては誤告知だとは感じてない。犬の特性、習性を理解してもらう必要がある。遺体判別に対する訓練も十分ではない。そうした点も踏まえ、時、場所、環境を選びタイムリーな活用で補完的な役割も担える。
D日本の災害救助犬組織の現状
 災害救助犬の説明は実際のデモで示すことにして今度は扱う人間側の組織事情、課題について自戒をこめて披瀝した。
 組織の数、特に対組織の連携行動について意識が薄く、整っていないこと、訓練していないこと、ただ犬がいることだけが災害救助犬組織であるとしか言いようがないと自戒している。組織が公表している災害救助犬の頭数、会員数などと過去の災害への対応、行方不明者捜索への対応、救助隊との連携訓練の継続的かつ計画的な対応、人命救助に関わるための装備、訓練などから推察して実数は乖離している現実を客観的に見て活用を考えていくべきが現場を指揮する救助隊の対応になると捉えている。災害救助犬だけの能力の問題ではない。
 日本におけるサーチ&レスキューに現場で災害救助犬が加わるレベルにはない。臭覚が優れていることにより偶然に期待するために訓練しているのではない、期待されるためには過去の教訓からスキルを磨き訓練していく姿勢が求められる、と考えている。しかし関わる人間側が機能させるチームとして未熟であること、現場で使うにはリスクが伴うことは隠すことはできない。
 災害救助犬を現場で活用することを考えてもらうために、この課題の克服に外部の協力も必要であることを提案した。
E先進国から学ぶ
 昨年、3名がスイスの国際救助犬訓練ウイークに参加し、そこで学んだこと、感じたことなどを日本に当てはめ、いま日本でできること、やらなければならないこと。それは災害救助犬サイド、救助隊に限ったことではなく行政も企業も含まれる。国レベルの対応が求められるが今のままでは実現性は乏しい。海外を羨んでいるだけでなく日本版のサーチ&レスキューモデルを群馬県においては着実に前に進んでいることもあり注視もらいたい。
F救助隊との連携訓練の実情
 人命救助に常に向き合う救助隊から学ぶことは多い。如何に犬に頼り現場を甘く見ているかが教えられる。
 そして機動隊、消防などと訓練はしているがパフォーマンス志向であり実務的であるのか。救助隊で補えない点を災害救助犬でカバーしてチームとして機能させることを具現してもらわなければ訓練のための訓練で終わり、成果が集約されないことは避けたい。
 連携訓練を通じて経験することも甘受してもらい、実務的な訓練、活用を提案した。
 また、消防からOBを迎えより実践的に取り組んでいることを伝えるため顧問にも参加してもらい、懇親会で交流を深めてもらった。
G災害出動からの教訓
 中越沖地震、岩手内陸地震、庄原土石流災害、東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震などに出動し教訓として改善に取り組んでいる現況、常に課題を突き付けられ、未熟さを思い知らされる。
 その中で、現場から、また救助隊から教えられるもの、一番は個人の力の非力さで協同して事に当たるという当たり前のことができていない現状から、特に連携に対しては積極的にならざるを得ない。不謹慎であるが訓練では味わえない現場の緊張感の中で役目を果たす冷静さは経験でしか会得できないものである。それを生かす知恵を出し合っていかなければ災害地の見学かと揶揄される。正念場の災害救助犬の立場の認識を示した。
H災害救助犬の信頼への道
 災害救助犬の認知は向上していると感じているが、信頼を得るまでには至っていない。犬の能力の問題ではなく、連携した現場対応できないこと、組織的に動けないことは継続的な作業ができない。災害地のハイエナと揶揄されていることを肝に銘じるべきである。
 災害救助犬が加わったサーチ&レスキューで成果を目指すためには私たちが取り組まなければならないことは数多く、置き去りにしたままの現況では信頼は得られない。その一つ一つを列挙し、共に活動する救助隊に理解をしてもらう必要を強く感じている。取り敢えず犬を使ってもらうのではなく、人命救助に確実に役立つ作業ができるための災害救助犬チームを目指している方向を示した。
IQ&A
 52問の質問があり、その概要は犬の関連よりも、「要請」「現場活動」への質問が大半であった。これは災害救助犬を知ることより、その先の活用を考えていることを示しているように思われる。
 犬が確実に作業ができるは当然の前提であり、この点も期待に応えるように訓練をしていかなければならないが、実践をイメージして行っているかが問われる。
 この時間に1時間をかけて消防が懸念していること、期待していることが聞けたことは、私たちの訓練の方向性として貴重な情報であり、それらを踏まえ連携に役立つように取り組んで行きたい。
Jデモンストレーション

 服従作業と捜索作業の実際を見てもらうのだが、犬自慢を見せるのではない。同じ救助隊のメンバーとして指揮隊の指示が最先端の災害救助犬に正しく伝わり作業しているのか。安全な作業ができるのか。確実に答えを導き出せるのか。ハイテクマシンの消防機材寄りも有効な場面があるのではないか。効率的な作業が行えるのではないか。逆に懸念される点は何か。等々どのように見て感じられたのか。
 以上のレクチャーを終えて、災害救助犬が正しく評価されて行くことを願うが、変わらず人命救助第一で真摯に取り組んでいきたい。 

  服従セミナー 6月16日 東京都江東区夢の島マリーナ 11頭20名
 恒例となった服従のセミナーである。認定審査が終了後、出陳者すべてが個別で受講した。合格したからと安堵することはできない。
 午後から夕方まで全員が自分の犬だけでなく他の人の指導にも耳を傾けていた。こうした姿勢が合格率にも表れ喜ばしい循環である。
 災害救助犬と呼ばれ、期待を込めて見られるようになるので、普段から恥じない振る舞いも問われてくる。

  認定R審査会 6月16日 東京都江東区夢の島マリーナ 11頭20名
 スチュワートの指示に基づいて行動すること、臨機応変に対応できることが求められるが、レベルは確実に上がってきて実働的な認定犬が増えてくる予感があり期待が持てる。
 認定R審査会に合格しなければ捜索審査に進めず、人命救助活動には加われない。この制度は出陳者には不評かもしれないが、どのような審査を経て社会に送り出すか、人命救助に関わる以上信頼、合理性のある制度でなければならない。
 その点において、この認定R審査は作業犬として環境馴致ができるか、指示に従えるかの基本的な関係性を重視している。この点は救助隊との連携訓練の現場を経験すれば理解できるはずだ。この審査をクリヤーすれば先天的に鼻がよい犬にとって、指導手の的確な指示があれば次の捜索作業の方がハードルは低いかもしれない。


法政大学ボランティアセミナー 5月15日 東京都千代田区 4頭5名
 大学のボランティアーセンターが企画した催しでボランティア活動に興味のある方、犬好きの方、防災に興味のある方など様々であるが熱心に聞いてくれた。犬たちとともに教室で災害救助犬の特性、育成訓練、活動は社会とともに活動していることを話し協力もお願いした。都会の中にある学舎の中庭でデモを行い、躊躇なく要救助者BOXで告知する犬たちに感心し、ふれあいや一緒に遊んでくれた。
 若い人たちが社会とともにNPO、ボランティア活動に興味を示してくれることは頼もしい限りで話しには力が入った。


春季合宿訓練会 5月5-7日 長野県高遠町 30頭26名
 


認定(捜索)審査会 5月5日 長野県高遠町 4頭15名
 
 

山岳救助連携訓練 4月12日 京都市右京区愛宕山 2頭4名
 京都府警を出動協定に基づき連携訓練を行った。こうした平時の取り組みがいざという時に互いの信頼の上に成り立ってくるものだ。
 その例として、熊本地震では南阿蘇村で同じ現場となり、掘削⇒確認⇒掘削を繰り返し協同して救助活動を行った。
 まず災害救助犬の特性、ウィークポイントを説明し、BOXに隠れた人を探し当てる基本的なデモと目の前の林に隠れた人を探し当て告知に至る様子を見てもらった。その後ブラインド捜索に移り連携した訓練を始めた。マスコミも居てやりにくい部分もあったが、犬たちは誘惑されることなく無視して作業をしてくれた。
 林道から登山道に入り、救助隊を待機してもらい30mほど下の河原に向けて集中的に探索し要救助者を発見した。しかし告知はしなかった。要救助者は電話で話し中であったのだ。これは訓練における告知に一辺倒では通用しないこと、どのような状態で遭難しているのか想定できない、実働における微細な犬の動き、反応を観察して人による確認が不可欠であることを教えてくれる。
 また、私たちだけであれこれ難しい設定で訓練することだけでなく、こうした緊張感のある連携訓練のなかで行動、判断することも経験していかなければ信頼される救助犬とはならないであろう。


行方不明者捜索 3月22日 三重県伊賀市 2頭3名
 家族からの要請を受けたが、警察、消防の捜索に協力する形で出動した。20日、伊賀市の山中で車が放置されているのが見つかったが、18日から放置されていたようである。17日に家を出る際に家族には自殺の可能性を示唆しており、車が発見されて近隣で見つかるのではないかと考えていたようだ。4日以上経過しており災害救助犬としては特性を生かせる作業にはならず発見には至らなかった。
 ※23日付近の山中でご遺体で発見されました。
  ご冥福をお祈りします。


消防学校救助科特別授業 3月9日 広島県消防学校 5頭10名
 昨年の救助科に向けた講座に続いて2回目のである。今回は県内各署の救助科向けに行う。各消防に災害救助犬の理解が浸透していくものと期待している。午前9時から12時までの3時間プログラム
@災害救助犬とNPO活動について
 欧米先進国も災害救助犬は民間の活用である。共助ということからも如何にうまく活用し人命救助に生かせるか、私たちの目的、日常の活動も理解して踏まえてもらう必要がある。
ANHKEテレ「学ぼうBOSAI」ビデオ
 NHK教育で小学校高向けに制作された「命を守るチカラ・災害救助犬」の映像である。10分間で非常にわかりやすく編集されている。
B災害救助犬の特徴と訓練について
 言うまでもなく臭覚が優れている犬ではあるが、特徴として服従性、機動性を挙げている。作業犬として優れた臭覚を必要な時、場所において生かせるようにならなければならない。
 それは訓練において犬との関係性、服従訓練、環境馴致、経験などの積み重ねが求められる。
 犬の生かせるのは指導手にかかっていることを認識してすべての関りに向き合い取り組んでいることを強調した。
C災害救助犬のウイークポイント
 災害救助犬は常に正解を導き出せると思われても困る。諸条件がある。特に臭覚を生かすには、風、温度、湿度、現場環境などに左右される。また、遺体判別に対する訓練も十分ではない。そうした点も踏まえ、時、場所、環境を選びタイムリーな活用を願う。
D日本の災害救助犬組織の現状
 災害救助犬の説明は実際のデモで示すことにして今度は扱う人間側の組織事情、課題について自戒をこめて披瀝した。
 組織の数、特に対組織の連携行動について意識が薄く、整っていないこと、訓練していないこと、ただ犬がいることだけが災害救助犬組織であるとしか言いようがないと自戒している。組織が公表している災害救助犬の頭数、会員数などと過去の災害への対応、行方不明者捜索への対応、救助隊との連携訓練の継続的かつ計画的な対応、人命救助に関わるための装備、訓練などから推察して実数は乖離している現実を客観的に見て活用を考えていくべきが現場を指揮する救助隊の対応になると捉えている。災害救助犬だけの能力の問題ではない。
 日本におけるサーチ&レスキューに現場で災害救助犬が加わるレベルにはない。臭覚が優れていることにより偶然に期待するために訓練しているのではない、期待されるためには過去の教訓からスキルを磨き訓練していく姿勢が求められる、と考えている。しかし関わる人間側が機能させるチームとして未熟であること、現場で使うにはリスクが伴うことは隠すことはできない。
 災害救助犬を現場で活用することを考えてもらうために、この課題の克服に外部の協力も必要であることを提案した。
E先進国から学ぶ
 昨年、3名がスイスの国際救助犬訓練ウイークに参加し、そこで学んだこと、感じたことなどを日本に当てはめ、いま日本でできること、やらなければならないこと。それは災害救助犬サイド、救助隊に限ったことではなく行政も企業も含まれる。国レベルの対応が求められるが今のままでは実現性は乏しい。海外を羨んでいるだけでなく日本版のサーチ&レスキューモデルを群馬県においては着実に前に進んでいることもあり注視もらいたい。
F救助隊との連携訓練の実情
 人命救助に常に向き合う救助隊から学ぶことは多い。如何に犬に頼り現場を甘く見ているかが教えられる。
 そして機動隊、消防などと訓練はしているがパフォーマンス志向であり実務的であるのか。救助隊で補えない点を災害救助犬でカバーしてチームとして機能させることを具現してもらわなければ訓練のための訓練で終わり、成果が集約されないことは避けたい。
 連携訓練を通じて経験することも甘受してもらい、実務的な訓練、活用を提案した。
G災害出動からの教訓
 中越沖地震、岩手内陸地震、庄原土石流災害、東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震などに出動し教訓として改善に取り組んでいる現況、常に課題を突き付けられ、未熟さを思い知らされる。
 その中で、現場から、また救助隊から教えられるもの、一番は個人の力の非力さで協同して事に当たるという当たり前のことができていない現状から、特に連携に対しては積極的にならざるを得ない。不謹慎であるが訓練では味わえない現場の緊張感の中で役目を果たす冷静さは経験でしか会得できないものである。それを生かす知恵を出し合っていかなければ災害地の見学かと揶揄される。正念場の災害救助犬の立場の認識を示した。
Hデモンストレーション
 服従作業と捜索作業の実際を見てもらうのだが、犬自慢を見せるのではない。同じ救助隊のメンバーとして指揮隊の指示が最先端の災害救助犬に正しく伝わり作業しているのか。安全な作業ができるのか。確実に答えを導き出せるのか。ハイテクマシンの消防機材寄りも有効な場面があるのではないか。効率的な作業が行えるのではないか。逆に懸念される点は何か。等々どのように見て感じられたのか。
 以上のレクチャーを終えて、評価されたとしても慢心することなく、現場重視で真摯に取り組んでいきたい。


実働想定訓練会 3月3日 神奈川県丹沢山系 5頭9名
 犬の訓練だけで現場に出るわけにはいかない。人間のスキルアップ、チーム編成の整備ができなければ出れない、というのが当会出動の考え方であり、過去の教訓からイメージした実働想定訓練会を継続的に開き定着させて行きたい。毎回必ず課題が生まれ、それぞれが経験の生かし方によって少しずつは進歩しているはずである。
 今回は集合地、時間以外は伝えておらず、限られた情報の中でチームで最善の捜索作業体制を整えなければならない。責任者となった者は緊張と責任を感じるであろうが経験は糧となる。
 犬だけの訓練ならば発見が成功体験であるが、人間は失敗から学ぶことが多いのでプロセスが重要で、結果がついて来る場合と空振りに終わる場合があるが、課題の共有、積み重ねが大切である。
 この日は終了まで8時間ほどであったが、写真が示すように天候も良く楽しく過ごせた訓練であった。
 

小学校課外授業 2月17日 奈良市 4頭4名
 5年前に続いて2回目の訪問で小学4年を対象とした課外授業で防災啓蒙、災害救助の一つとして災害救助犬を学ぶ目的で保護者が企画したイベントである。子供たちが関心を示してくれてやり甲斐がある。
 子供たち向けに「犬とかけっこ競争」「指導手体験」などを織り交ぜて身近に感じてもらうように心がけた。
 災害救助犬の今後を考えても必要な人材として興味を示してくれるように楽しい思い出となってくれればと幸いである。


認定R審査会 2月11日 千葉県野田市 12頭18名
 定期訓練会と認定審査会併催から認定R審査会の単独開催となった。
 全国組織であるが故に各地で開催していたが、会場の確保、審査員の調整、開催回数などを安定的に行い、認定を目指す人たちの明確なステップとなるようにしたい。
 今回の認定R審査会は必ずしも満足な結果となならなかったが、私たちが目指す災害救助犬を現場で活動させるためには必要なスキルとしての基礎を確認するために重要視している審査会である。犬の作業を形で見せる競技会的なものとは区別して、本質的な服従心、作業意識、集中力、犬との関係性などが問われる。
 私たちは過去の実働現場、連携訓練の教訓から災害救助犬に求められているスキルを確認して社会に送り出さなければならない、そんな思いでいる。

雪山救助連携訓練会 2月8-9日 群馬県赤城山 5頭10名
■8日
 この日は快晴ながら9時集合時から一日中マイナス気温で防寒に悩まされた。赤城山は急峻な山域ではないが登山者も多く実際に行方不明者がでているらしい。この訓練に谷川岳山岳救助隊からも講師として5名が参加され、日々遭難者と接している真剣な話を伺った。
 赤城山域を管内に持つ前橋消防、渋川消防、前橋警察らに災害救助犬も加わり実践的に行われた。手探りなところもあるが顔の見える関係が必ず役に立つ時が来る。行方不明者3名で登山ルートは4本、うち救助犬は2ルートAB2班が救助隊とともに捜索救助に加わった。
 本部には2名、消防本部の横に設置し、現在地、状況のすり合わせをしながら、情報共有を図った。専門的な用語もあり、当初の予定通りには進まないのが現実であり、継続的な訓練の必要である。

◇チームA(3頭5名)
 後でわかったことだが途中アクシデントもあった。ルートを間違え発見する予定ではない要救助者(ダミー人形)を発見し、帯同の救助隊が救出に回り、単独行動の中で要救助者を発見、他の救助隊から応援をもらった。運営サイドの予定進行はわからないので目の前の救助に対応するしかない。救助犬と救助隊は現場同士では交信できず本部経由で臨機応変に対応し事なきを得た。実践的である。

◇チームB(2頭3名)
 チームAとほぼ同時刻に発見の一報が入る。同様に消防本部にも一報が入る。要救助者3名は発見に至り、駐車場まで搬送する。
 要救助者が意識があり、助けにリアクションをすれば告知できない犬もいる。現実的な捜索では起こり得ることである。告知だけに頼らず犬の行動を観察していればわかることでもあり、実践的には大きなテーマでもある。


■9日(本部2名)
 昨日は中腹の赤城青少年交流の家に宿泊した。昨日より2名減り8名で臨んだが、サポーター不足は指導手に負担がかかり捜索作業に影響する。今回は先頭で犬の臭覚に期待しながらの連携チーム編成であったので、救助犬は行動、時間経過とともにそのプレッシャーも負担となったであろうが、現実的な経験となった。
 救助犬の管理スタイルを消防からも見学に来られ、互いに学び共有する姿勢が実りある方向につながると思う。
 ミーティングではこの日の反省だけでなく、私たちが連携に対して考えている群馬モデル実現に向けた決意を話した。
 この日も担当エリアでそれぞれ発見し、第一報は救助犬の方が早いので消防は応援隊の差配に忙しい。冬は低体温への処置が必須であり、無事下山するまでは慎重に対応していた。
 自分たちだけではできない、非常にリアリティ、緊張感のある訓練であった。相変わらず反省も多いが貴重な経験である。

◇チームA(2頭3名)
 救助犬チーム以外は昨日とは入れ替わっている。先導するのは救助犬チームでフェイスティで進んでいることが作業をしていないように映るのか何度かサイレントタイムを取りますかと尋ねられた。救助犬の作業への信頼と特性の理解、捜索方法の協力が不可欠であるが、それは直ちに叶うものではない。緊張感のある中で培われていくものであろう。訓練とは云え責任感を感じる。
 登山道から30m付近で発見告知し、救出を見守る。現場ではアクシデントが常ですべては失敗、経験から学ぶしかない。
 
◇チームB(2頭3名) 
 昨日の反省もあり、行動スタイルが違ってもチームは一体として行動するように通達があった。発見しても救出できない連携とはそういうものだ。救助犬は動き回るが、野放図ではなくコントロールが効いている状態で一緒に作業をすることに慣れていかなくてはならない。
 マイナス気温の中、一刻を争う救助に消防は心強い。

中学校特別授業 2月5日 京都市左京区 5頭4名
 京都府教育委員会との関係で中学校での防災授業である。
 中学生ともなるとボランティアにも興味を示し、犬好きで未来のハンドラーとして参加してくれる子が一人でもいれば幸いである。
 整然と話を聞いたり、見たりしていてくれたが、ふれあいタイムになったら子供らしく声を上げ犬たちをもみくちゃにしていた。
 百数十人の子供たちに囲まれふれ合うのは災害現場よりも試練かもしれない。

基礎訓練会1(服従) 1月21日 東京都夢の島 24頭19名 
 服従の特化した訓練会である。救助犬の訓練会は捜索に偏重し見つけられたことに指導手だけが満足してしまう傾向にある。現場での作業を経験した立場からは、限られた場所での訓練とまったく環境は異なることは教訓である。訓練はあくまでも訓練であり現場、環境を再現することはできない。その中で日常的にどこを重点に訓練していくべきか、考えるべき共通の課題である。
 私たちは捜索訓練だけに偏重することなく指導手との信頼関係を築き指示に従い確実に作業をさせる基本こそが使役犬の訓練スキームであると思っている。そうした訓練の積み重ねが、犬が持っている優れた臭覚を活かせる道だと考えている。


京都府警避難訓練 1月18日 京都市宝ヶ池 4頭4名 
 昨年の訓練に参加した京都府警避難訓練である。
 警察も被災し本部機能を移動させると同時に近隣の小学生などを広域避難場所に誘導する訓練である。一方イベント的に警察の活動紹介も行い、その中でともに活動する災害救助犬も加わった。
 広いグランドの中にポツンと置かれた3つのBOXに被災者が残されているのを災害救助犬が探し告知した。子供たちはワァーみつけたと歓声を上げてくれ盛り上がった。その要救助者をヘリで搬送した。
 熊本地震でも現地で帯同して活動した実績もあり、京都府警警備部(広域緊急援助隊)と訓練する機会は多い。
 訓練終了後は、子供たちとふれあいを行ったが、子供たちの無邪気な歓声と容赦のない動きに慣れていくことはハードルが高いようだ。現場での喧騒に動じることなく作業に従事することは目指すところで、その一つになればと願う。



  行方不明者捜索 1月8日 神奈川県横須賀市 7頭10名 
 捜索エリア 航空写真  捜索エリア マップ  合同チーム 写真

 7日夕刻、いつものように散策に出かけ戻らないと家族から捜索依頼が入った。携帯の電波反応範囲(イエロー)を警察犬を出して2日間捜索したが手掛かりが得られず、警察から災害救助犬活用のアドバイスもあり依頼に至ったものである。
 8日6時、10名7頭体制で田浦警察に集合し警察の予定範囲(グリーン)サポートを受けて捜索に入った。取付き地点に現地本部を置き、常に現在地、状況報告(A〜G,Zポイント)を交信し警察と情報共有していた。散策に出かける場所は鷹取山へと続く散策路であり、枝道も多く平面的な捜索となった。警察と重複しないように随時チーム分割、合流と臨機応変に対応した。丘陵を切り開いた住宅地の中であり行方不明者が出ることが不可解であるが現実に発生している。
 当初は鷹取山周辺も捜索範囲に入れていたが、携帯電話の電波受信からは離れていた。警察との調整で見逃しがないか受信範囲を徹底的に捜索することにした。
 11時30分まで予定範囲(A〜G,Z)を捜索し、ここには居ないと作業報告をし、それを受けて警察の機動隊は鷹取山に入り昼過ぎに崖下(×)に当該者らしき人を見つけた。
 終了後、警察に呼ばれ署長室で応援への感謝の意を受けた。警察犬とは異なる捜索を行う災害救助犬も平時の捜索に使えることを感じたそうである。発見できなかったにも関わらず、使えると感じたポイントは、チームとして機能し警察の足手纏いにならない、作業の方法が効率的であり信頼できる、作業経過が共有できることなど民間でありながら安心して現場で使えると感じられたそうである。現場に同行していないにもかかわらずそのような判断ができるのは開始から終了までの行動が自己完結できていたと評価されてのことだそうである。
 救助隊が見る災害救助犬の活用ポイントは犬だけではないことを真剣に考えるべきである。現場で特性を活かせるためには犬以外のスキルを上げなければ信頼して要請されることはないように思える。
 また、救助犬は災害時だけでなく、人命救助の観点から動くことに真摯に取り組むべきではないか。たった一人の行方不明者であっても地味な作業であっても、そこに背を向ける救助犬関係者がいるならば社会の期待とは相容れないこととなり存在が問われていくのではないだろうか。
 




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